芋焼酎のGC/MS分析では50以上のピ-クが検出されるため,大きなピ-クに隠れた小さなピ-クや感度の悪い成分のピ-クは検出しにくいのが現状である。また,ガスクロマトグラフによる分離を利用した香気試験で,カラムから出てきた香気成分を瞬時に確認することは至難の業である。これらの問題を解決するため,芋焼酎香気成分のゲルクロマトグラフィ-(GPC)による分画について検討した。その結果,以下のことが明らかとなった。
(1)GC/MSによる分析の際にピ-クの重なりを最小限にすることができた。これによって,たとえば,これまでのGC/MS分析では確認が困難であったダマセノン,シトロネロ-ル,ゲラニオ-ルおよび2,3-ジヒドロ-トランス-ファルネソ-ルを独立したピ-クとして検出できた。
(2)香気成分を分画分取して保存可能なものとすることによって,GC/MSピ-クと特徴香気との関連について調査することが容易になった。その結果,カプリル酸エチル,カプリン酸エチル,酢酸イソアミル,ダマセノン,ファルネソ-ル,イソアミルアルコ-ルおよびβ-フェネチルアルコ-ルが,芋焼酎の香気に強く関与していることが明らかとなった。
松原英隆,沖園清忠,日本醸造協会誌,106(3) ,164-171(2011)
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